TECLAST P85T (Allwinner A523搭載廉価タブレット)

昨年11月頃にTECLAST P85Tという廉価タブレットを買いました。
割引込みケース付き9500円。

廉価タブレットの世界というと、だいたい3万くらいまでの価格帯が中心で、数年前まではchuwiを中心にAlldocubeやTeclast等タブレットに特化した中小規模メーカーが多数乱立・占有する状況だったのが、Xiaomi(redmi)、realmeなど大企業の参入が発生し、中小規模メーカーはさらなる低価格帯へのシフトを志向、最近では本製品のような1万円以下の製品も増えてきている。

1万円以下ともなるとさすがにスペック面での割り切りが必要で、まずはSoCや記憶容量、ディスプレイ、Widevineなどに影響がある反面、逆にここは押さえているというセールスポイントをもった製品が多い。P85Tもそのような製品のひとつで、この価格でWidevine L1を実現し、またイヤホンジャックを搭載している。つまりごろ寝で動画視聴しかしないなら結構いいぜって推し方をしてる。

内容物と製品の質感

9500円のタブレットはこんな箱。

内容物は本体と充電器、充電ケーブル。10W充電器なので速度はあまりでない。
フィルムは最初から添付済みだがホコリが混入して浮いていた。
別にこの値段だしなぁと思って剥がして使った。

表側はぱっと見とても普通。
ディスプレイ面がガラスなのか硬質樹脂なのか微妙な感じで、なんだかインカメ付近を触ると平滑ではなくモコモコしている。パ、パーツ詰まってるんですね…って感じだけどビルドクオリティは割りと終わってるかも。多分このモコモコのせいでフィルムが浮いてホコリが入ったんだろうね。

裏側もデザインは普通、金属筐体で質感は悪くは無い。悪くはないが、肝心の表側がモコモコしてるのが気になりすぎて裏面の質感が高いことに意味がない。
金属なので同クラスの中では多少重い。裏側もフィルムが最初から貼られているが、マット系なのでそれほど必要性がないだろう。
本体右側に音量と電源ボタンがある他、インターフェイスとしてUSB Type-C、3.5mmオーディオジャック、Micro SD スロットがある。スピーカーは当然モノラル。

公式ケースを着けるスタンド機能があるんだけど、なぜか底面側になる方にイヤホンジャックがありスタンドで横置きしていると実質使用できない。カバーでの画面オンオフには対応していた。

実際の使用感について

最近の廉価タブレットで採用が増えているAllwinner A523は実際どうなのか?
結論からいうならかなり動作がもたつくので、これが2023年令和最新の製品であることは忘れよう。
なぜかRAMは8GB積んでいるのだけどSoCに対して過剰すぎて意味は全くわからん。
Widevine L1の表記は偽りなしで、実際にHD再生が可能だが(Netflixは確認してない)本製品のディスプレイ解像度はHDなのですごくキレイという感じはしない。
それでも、高解像度なのにWidevine L3の製品よりは普通にキレイに見える。
Allwinner A523で非常に厄介なのは性能が低いことより電池の消耗が異常なことだ。

使用時もガシガシ減るんだけど、待機時の商品電力が半端ない。
使ってようが待機してようがほぼ同じようにどんどん減り、放っておけば勝手に数時間で0になる。
これアプリほぼいれてないほぼバニラだぞ。どういうことなんだよ。
充電も非常に遅いので、使用時以外は電源オフが基本となるが、起動の立ち上がりも当然遅い。うーんきついっす!

カメラについては画質が本当に終わっており、QRコードが読み込みできない。
撮影に向かない記録用とかそういうレベルではない。
飾りにもなってないので完全オミットで良かったと思う。

あとシステムUIにかなりの数の英語が残っていたり、変な通知がよくきたりする。

良いところは下記。

・金属筐体で価格の割にはしっかりしている
・Widevine L1
・イヤホンジャック搭載

だめなところは下記。

・基本性能が低い
・電池の消耗が異常
・カメラが使い物にならない

総括すると、動画を見たいときだけ起動する気の長い人にはギリギリ需要があるかもしれない…くらいの機種で、これを選ぶなら数千円足してもう少し上の機種を狙うべき。
Allwinner A523は地雷なのがほぼ確定したのでこの価格帯の製品は無視した方がいい。

スマホのアルミフレームとチタンフレーム

今後のスマホで少し流行りそうなチタンフレームだけど、チタンが軽くて強くてなんとなく万能の金属と思われてる節があって一部で誤解があるように思う。イメージでいうと下記だろう。

・軽い
・強度が高い
・硬い
・錆びない

まず「軽さ」つまり重量に関していうと、アルミの比重約2.7に対してチタン約4.5で倍くらいなので実はかなり重い。チタン合金でも4.4くらいなので大差ない。チタンって重いのかよ!うん、重い。
じゃあなんで軽いってイメージがあるかというと「強度が高い」ために使用量を抑えて、結果的に薄く作ることができるからだろう。同じ強度のフレームを作るとしたら、少ない量(=重さ)で実現できるから結果的に若干軽い。
強さの尺度は色々あるがざっくり全般的にチタン合金は優秀。
硬度でもチタン合金のほうが優れるので、傷の付きにくさもある。
錆にくさについては両者とも優れている。少なくとも日常的な使用ではどちらも問題ない範囲だろう。

しかしながら、立ち返って重さを考えると、スマートフォンのフレームにチタンを採用するなら、穴あけたり肉抜きして軽量化することは難しい。
内部構造の工夫や四周の薄型化の努力はもちろんあとは思うが、このことがスマホにおいてチタンフレームの採用が即重量軽減につながりにくい一因だと思う。しかし似た構造なら構造強度は高いことが期待できるから、アルミよりも喜んでいい高級素材なのは間違いない。軽くないやんけとがっかりする必要はない。

俺は昔Essential Phoneを使っていてAndroidの中ではチタン合金を採用した先駆と言えるものだった。
これは剛性感と高級感があっていいものだったが、耐傷性は思ったよりは低かった。普通に傷がつく。
いいものではあるが、オリハルコンではない。

2024年(8gen3世代)のカメラスマホについて

2022年までの各社スマホのカメラ進化というのは、メインカメラでの昼夜の写りをブラッシュアップし続けている印象だった。使用率が一番高い撮影モードを強化するのは当然のことだ。

ここがSnapdragon 8 gen 3 世代(MTKを積む旗艦級機種も増えつつあるが)、つまり2023年の後半から2024年の前半に出現するハイエンド機種では、別の付加価値を持って登場するものが多いだろうと個人的には予想している。理由はメインカメラの単純性能では、味付けの差はあれど、飽和・頭打ちしていて、別途付加価値を付与できるかどうかが製品の魅力 = 競争力に直結する状況にあるから。

フォルダブルスマホのような機種も広く見れば頭打ち市場で付加価値を模索するアプローチの一環だが、カメラの話とは関係ないので今回触れる話題ではない。カメラ重視型のスマートフォンについての話に限ろう。

振り返って2021年の機種と2022年の機種を比べると、明確に夜景HDR処理の世代差が存在する。
つまりこの期間は各社、比較の俎上にあげられやすい低照度性能の向上に注力したとみえる。
2021年のカメラスマホであるX60PPであっても、2022年のカメラまぁまぁスマホ Oneplus 10 Pro より実は白飛び耐性が低い。

そして今年、2023年は各社試行錯誤と静観で姿勢が別れた年であると感じる。
Xiaomiは 13 Pro で望遠レンズの使い勝手を、13 Ultra でカメラのような撮影体験を、OPPOは自社チップ(前年もだが)と最高クラスのハードウェアによるスペックの暴力を、HonorはXiaomiと同様のテレマクロとオート撮影の使い勝手、vivoやSamsungは低照度や望遠といったそれまでの長所をさらに磨く、挑戦と保守の姿勢が分かれる時期だった。
この中で特に成功を収めたと見えるのはXiaomi 13 Pro / Honor Magic 5 pro の望遠のテレマクロで、Xiaomiは14世代で無印にも搭載する他、他社でも同様の機能が流行する兆しが見られる。なにせこの機能は実際に使い勝手が非常に良い。出番が多い機能が重視されるのは当然のこと。

勿論変わったフィーチャーを持った機種は以前から存在していて、その最たるものではFind X3 等で採用された顕微鏡マクロがある。Oneplus 8 Pro のフォトクロミック撮影も独特なものだった。唯一的なものとはいえなくとも、Samsungのように望遠性能に注力することも磨き上げた一芸としてユニークだろう。Pixelのように現実的な色味の再現に力を注ぐのも良いアプローチのひとつだと思える。そういえば温度測定なんてのもあったが、まぁカメラの話ではないね。しかしユニークなフィーチャーが受け入れられ定番機能となるかどうかはまた別の話。顕微鏡があるからFind X3を買おうという層は少なかったとみえ、次の世代では廃された。

このような背景を踏まえると、2023~2024の期間に登場する旗艦級スマートフォンには、当然前世代よりブラッシュアップされたメインカメラの撮影性能が求められるが、もはや通常仕様では必要な性能を各社が満たしているため(味付けの差は考慮しない)、これまでにない撮影体験や使い勝手の提供で差別化を図り自社製品をアピールする流れが主流になると考えている。

既に発表されているものではXiaomi 14 シリーズのテレマクロ継続および無印への搭載と、14 Pro での可変絞りによる光芒の表現。iQOO / vivoのテレマクロ搭載。
他、AndroidがまだiPhoneに届いていない動画分野での進歩も期待される。

テレマクロが流行の一つになるのはもはや確定的で、実際、有無が使用感に直結するので定番機能になるのは間違いないと思っている。他に変わったフィーチャーや使い勝手を搭載してくる機種がいかほどでてくるか、何を売りにしてくるのか、それは今から楽しみである。

2022年から2023年のメインカメラの質の進歩は大きなものではなかった。
多くのユーザーに受ける新機能となると、そう簡単に開発できるものでもないから、保守的な姿勢をとるブランドも出てくるだろう。

そうなると、通常の撮影の質は2023年の機種でも十分に満たしているし、昨今の円安もあって高額が見込まれる新型機種を購入するよりも、2024年のトレンドになりうるテレマクロを搭載した既存機種…つまり、Xiaomi 13 Pro やHonor Magic 5 Pro が、中古市場を含めてあらためて株をあげてくる可能性もあるかもしれない。実際、光芒に魅力を感じず、テレマクロに魅力を感じるのであれば、Xiaomi 14 Pro ではなく 13 Pro で足りる場面が多いはず。旧世代と明確に差をつけて新型機を売ることができるのか。各社の新世代機に注目したい。

Xiaomi 13 Pro / Magic 5 Pro 写真比較レビュー

テレマクロ持ちのGMS対応上位機種比較。(テレマクロは少しだけ触れる)
Xiaomi 13 Proは Xiaomi 12S との比較をすでに行っており、会社が同じこともあり撮像傾向もあまり変わらず劇的な差異もなく、メインカメラについていえばそこまでの差はなかった。1inの威力とは…。
今回は会社も違うので傾向の違いが出ると思う。
昼景は全てAIオフオート、夜景は全て夜景モード、Xiaomi 13 ProはLeica Vibrant統一。

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Honor Magic 5 Pro グローバル版 レビュー

Huaweiから独立し、近年グローバル版端末もリリースしているスマホメーカーHonor、そのハイエンド機種はカメラ特化型スマホを求めるユーザーにとって新たな選択肢になりつつある。Magic 4 Ultimateまでは中国国内のリリースに留まり、グローバルで常用可能な端末はMagic 4 Proとハイエンド止まりだったが、最新フラグシップ端末Magic 5 Proはグローバルでリリースされ、Ultimateとは殆ど差異がない。
2週間ほどメイン機として使用しているので、実際の使用感などを記す。

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Xiaomi 13 Pro / Xiaomi 12S 写真比較レビュー

同じ会社の2022年と2023年のハイエンド。Xiaomi 12SはコンパクトハイエンドながらXiaomi 12 Proとセンサーが同じであり、色味や明度は違う場面があるが総じて写りの品質はかなり近い。なので12 Pro と 13 Pro の比較と置き換えてもいいかもしれない。ハード的にはXiaomi 13 Proが圧倒しているはず。
昼景は全てAIオフオート、夜景は全て夜景モード、Leica Vibrant統一。

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Realme 10 Pro+ グローバル版(ロシア版)レビュー

いい感じのサブスマホを探していたら本機に到着。
ソシャゲ周回とか自転車のナビに付けたかったので、
・そこそこのSoC/RAM性能
・良好な電池保ち
・重すぎない
・実用レベルのバンド対応
という俺の需要をうまく果たしてくれるのが本機だった。

実際買って使ってみるとスペックシートだけではわからない部分もあるので、その点を共有したい。

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OnePlus11 / Xiaomi 12S 写真比較レビュー

2022年のハイエンドと2023年のハイエンド。ハード的にはOnePlus11の進化は少なく、Xiaomi 12Sはコンパクトハイエンドながらセンサーが同じなこともありメインカメラの写りは上位モデルのProとほぼ同等。ということで気になるのは2023年のハイエンドがハードで優越する型落ちモデルに対しソフトウェアでどれくらい進化してきたか、そして結果としてどう差をつけるかってところ。昼景は全てAIオフオート、Xiaomi 12SはLeica Vibrant、夜景は全て夜景モード。

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