Huaweiから独立し、近年グローバル版端末もリリースしているスマホメーカーHonor、そのハイエンド機種はカメラ特化型スマホを求めるユーザーにとって新たな選択肢になりつつある。Magic 4 Ultimateまでは中国国内のリリースに留まり、グローバルで常用可能な端末はMagic 4 Proとハイエンド止まりだったが、最新フラグシップ端末Magic 5 Proはグローバルでリリースされ、Ultimateとは殆ど差異がない。
2週間ほどメイン機として使用しているので、実際の使用感などを記す。
外観

カラーはグリーンをチョイス。素材は多分ガラス。
ブラックは分からないが、グリーンは背面マット処理で耐傷性が強い。
フレームはマットではないツヤ処理のため、傷がつく。
ボタン類は右側に整理されており使いやすいが、幅が76.7mmと昨今のハイエンド機種の中でも頭一つ抜けてでかいので、エッジディスプレイとはいえ持ちやすさには難がある。近いのはFind X6 Proの76.2mmだけど、それよりもでかいので今年の機種で最大かもしれない。縦は普通サイズ。厚みは抑えめで、なんとか持ちやすさに寄与。

カメラバンプの高さは平面部から大体10円玉3枚分程度、約4.5mm。
宣材写真ではわかりにくいがカメラバンプは完全に平面。
通信関係
日本キャリアの主要LTEバンドを網羅し、volteも対応していて普通のスマホとして使用可能。
Softbank、IIJmioのドコモ回線、povoで動作確認済。楽天は知らない。
5GもN77、N78、N79に対応しているがドコモ回線でオンにしたところ接続が安定しない結果だった。
機体の問題か、地域差か、なんなのかは不明。
UI他
HuaweiのEMUIを彷彿とさせるらしいが、タブレットしか使ったことがないので不明。
個人的にはやや癖強に感じ、MIUIやRealmeUI等のほうが外観的には素直だと思った。
パンチホールが横長で巨大なので、ステータスバーが通知欄として機能しない。
純粋に名前通り「現在のステータス」を表記するスペースになっている。
一応、1枠だけ通知に使われる他、横持ちにすると広がるのでその場合通知欄は機能する。
あとは通知バーを引き下げた場合、時計が下にくるので広がった分通知はでる…が、それに意味があるかは謎。

巨大なパンチホールは深度センサーをもった前面カメラなので、そのおかげか暗所でも顔認証が速い。
他、OSの癖として、Xiaomi等ではテーマから気楽に使えるフォントの変更が事実上できない(アップしてくれる人に感謝)。
Honorでは、適用できるものが用意されていないため。

しかしながら、フォントについてはZFont3を用いてttfを読み込ませることで自由に変えられる。
他、XiaomiやOnePlusと比べると、レビューやTipsの類の数は雲泥の差で、ほとんどないと言って良い。
困った時に頼る先は、修理なども含めて問題があるといえる。
処理性能等について
8gen2でRAMも12GBあり、スペック面で言うことはなにもないので割愛。
何故か3D性能が低いとの情報あり、原神などプレイする人は要注意かもしれない。
カメラ性能について
本機の一番の目玉であるカメラ性能について。主にメインカメラについて。
動画はあまり興味が無いので無視する。
良い点
- 全体に高い解像感
- 白潰れを回避する強力なHDR性能
- 現実感を損なわない範囲で鮮やかな色味
- 暗部を持ち上げすぎない肉眼に近い調整
- 使い勝手のよいテレマクロ
- 10倍まで実用範囲の望遠
欠点
- 露出調整がやや遅い
- 一部のシーンによって安定しない色味傾向
- 枝の奥など複雑な構造へのAFの苦手
- 暗部の黒つぶれ
- 暗部を中心に発生する極端なノイズ
- 超広角でのマクロへの切り替わりに設定のオンオフなし
- 超広角でのマクロのインジケータがAIオンでないと表示されない
- 撮影中のプレビュー画面の画質が低い
- 動画は設定次第で使用できるレンズが異なり、あべこべ
昼間撮影

昼間の光量が多い空間は、概ね申し分のない写りを魅せる。
やや明るめ、解像感も色味もバッチリって感じだ。

上の写真のカラフルな折り鶴部分、彩度が高い機種ではプラスティックのように見えてしまうが、Magic 5 Proでは調整が良く、紙とわかる現実感がある。

都市景観もパリっとして良い。Oppoの写りを彷彿とさせる印象。

昼間撮影でも暗部は殆ど持ち上げず、肉眼の見た目に近い。
Oneplusのように物体のシャープネスを効かせすぎている印象もなく丁度よい。

スマホが苦手な赤い花。
最も鮮やかな箇所は飽和しているが、概ね良好。

青い花は色味が少し強く出る。

全体的に植物の描写はかなり良い。Xiaomiはこの点が苦手で、色味が強すぎたり、明るすぎたり暗すぎたり、または塗りつぶしたような画になることが多い。

HDRは最高クラス。電灯がまったく潰れない。

夕景。シャープで色味もよくてめちゃくちゃレベルが高い。言うことは何もない。

夕景でAIをオンにして夕焼を認識させた場合、暗い部分を際立たせたこのような叙情的な写りになる。
他社スマホだと景観がもっと明るくなる。
だいたいのAIシーン強化は色味の調整程度だが、Magic 5 Proではそれよりは高度な処理判定をしているっぽい。今回作例の他の写真はAIオフ。
メシウマ

ちょっとあっさりした色合いだがほぼ見た目通り。

明るめだが概ねこんな感じだなって写り。
OnePlusもちょっと似てるかもなぁと思った。

明るくなりすぎてしまった例。植物撮影で塗りつぶしたような色味にならない調整がされている分、逆に食材の濃い緑は苦手なのかもしれない。

やや鮮やかだが映える写真。
夜景

都市夜景でも暗部はもちあげないので、一部黒つぶれ気味になるのが気になるが、見た目のそれに近い写りをする。
解像感や白飛び耐性は高い。

レベルが高い。文句をつけるところがない。

暗部を持ち上げないのが基本ではあるが、極めて暗い空間を撮影する場合は明度をあげてくる。

月撮影も可能。上記はプロモードなので合成ではない…と思われる。
なんかキレイすぎる気がしないでもないが10倍までの望遠は本機はかなり良いので合成ではない…と思われる。確信がもてないな。ちなみにプロモードでは倍率が10倍までしか寄れない。
望遠・テレマクロ


3.5倍望遠で、少し距離を置きつつ、動く虫もキレイに撮れる。
テレマクロの使いやすさを謳うXiaomi 13 Pro と比べてもあまり差はない。
花のハイライトは少し白飛びしているか。

テレマクロによる物撮りも上々。色温度がやや高い。
遠景ズーム
等倍 / 3.5倍 / 10倍の順。デジタルズームを伴わないスペックは3.5倍までだが、10倍まではデジタル処理を感じさせないかなり良い写りをする。10倍を超える倍率は実用に難があり、Galaxyに太刀打ちはできる性能ではない。また、望遠レンズになるとその瞬間に色味が少し青系に変わるのは気になる。



異常なノイズが乗る作例
本機はシーンにより異常なノイズが乗る場合がある。
使用している感じでは、露出制御の速度がやや遅く、逆光に向けた場合で調整中などの場合、昼間撮影でも極めて強いノイズが乗る。

夜景でも空はノイズまみれなことが多い。ディスプレイによっては非常に見にくく、Magic 5 Pro 自身のディスプレイでも判別しにくいが、明るめのPCモニターなどでは丸わかりになる。
元写真と明度をあげてわかりやすくした写真を次に挙げる。


他の欠点について。
被写体に接近すると、超広角でのマクロ表示への自動切り替えが存在するが、オンオフがない。
そしてこのマクロはあまり画質がよくない。基本的にはテレマクロを使って距離をとって撮影するのが良い写りをするが、近づきすぎると超広角のマクロになるので注意。そして超広角のマクロはなぜかAIシーン強化をオンにしていないと有効化されたことが表示されない。
プレビュー画面の画質も何故か全体的に低い。恐らくHDR処理などの都合だろう。
撮影してみると大体キレイなので、これはそこまでの問題ではない。
最後に動画は、なぜかモードにより使えるレンズが異なり、使用感が著しく悪い。
設定を下げれば一番多く使えるのかと思いきやそんなことはなく、4K設定じゃないと望遠が動かないし、今度は4K設定だと超広角は動かない。
カメラの総評
加工や多彩な撮影モードによる撮影の楽しみを提供するのではなく、さっと撮って、撮って出しでクオリティの高い写真を提供する、従来どおりのスマホカメラのあり方に則ったスマホ。明暗や色味の表現などについては2023年の「実物からかけ離れない」といった傾向を取り入れているのは他社と同様。3眼で望遠からマクロまでオールレンジで高い性能を備えているのは、非常に使用感が良い。若干の癖はあるものの、その点が許せればグローバル版(ROM含)の有る端末の中でも最高のものといっていいだろう。