大きな成功を収めた World of Tanks のクローンタイプであり、WoTの問題点や不満点を解決したタイトルになるかもしれないと期待されていた Armored Warfare。この期待を背負ったタイトルだったAWが現在どうなっているかといえば、プレイしている人は勿論、プレイしていなくても聞き及んでいる人が多いかもしれないが、NA(北米)サーバに限って言えば、危機的状況にある。
AWをPVEゲームとして遊んでいる人にはそれほど関係のない話ともいえるが、PVPにおいては、素人目に見ても長期的な存続を危ぶむレベルで、人が、いない。
とにかく人がいない。
人が少ない時間帯だとか、マッチングして試合が始まったばかりのタイミング。
そういった要因が重なっての話ではあるが、上記のスクリーンショットは実際にサーバ内の様子。
最近の状況としては、Tier6まではそれほどの待ち時間を要さずに遊べるが、それ以降は長く待つか、時間帯によってはとてもとてもとてーも長く待つはめになる。
20分、もしくはそれ以上。
それってもう、遊べるっていう範疇にはない。俺にとっては。
時間帯次第でTier8や9でも数分でマッチングする場面はあるけど、それにしたって下手をすると5vs5のトーナメントをも超越した少数マッチなんてものになる。
尚、直近の傾向まで述べるなら、一ヶ月前であればマッチしやすかったTier6のマッチング状況が悪化しているように感じる。
どうしてこんなことになってしまったのか…
NAでプレイすべき人間がEUでプレイしている
どうもアメリカ東海岸ではNAサーバでもEUサーバでもPingが変わらないらしく、それならばと人数の多いEUでプレイしているアメリカ人プレイヤが多いらしい。
PCの要求スペックの問題
NAサーバは日本からのPingが最良のサーバであり、現状ASIA圏をカバーするサーバであるといえるが、WoTではあれほどたくさんいた東南アジアやタイ、ベトナムといった国々のプレイヤーの数が少ない。
推測に過ぎないが、WoTに比べPCの要求スペックが高いため、プレイ可能な人口自体が少ないのかもしれない。
題材の問題
身も蓋もないことをいえば、TigerやT-34といった有名戦車が実際にぶつかりあったWW2に比べて、戦後の戦闘車両という題材自体が魅力で一歩劣る。エピソードや伝説の類に華がないし、化物じみた性能のマシンには、機械はあくまで道具として人間が戦っていた、というようなWW2戦車が匂わすロマンチシズムがない(私見です!)。
WoTだって戦車が好きで始めた人ばかりではないだろうが、掘り起こせば面白い話がたくさん転がっているかどうかっていうテーマの深みやストーリー性ではやはり雲泥の差がある。
PVEの存在
PVEは少数の人数で成立するのに対しPVPはそうはいかない、フルマッチには30人が必要になる。
つまりPVPのほうがずっと人数を必要とするモードなのに、PVEにプレイヤを割かれている。
尚、PVEのみのイベントなども存在するため尚更PVPから人が減る。
ゲーム性の問題
AWは見た目こそWoTにそっくりで、実際似たゲームではあるが、Tier6程度までプレイしてみれば、違ったプレイ感覚のゲームに仕上がっていることが感じられると思う。
1.すぐに死ぬ
AWはWoTよりゲームスピードが早い。
移動速度もそうだし、旋回、収束、連射、そして連射が高いことにより砲撃に晒されたプレイヤが斃される速度が圧倒的に早い。
暴力的なDPMの前では、とにかく顔出しでヘマをするとすぐに死ぬ。
多数対少数のシチュエーションで味方がくるまで支えるといった努力が難しい。
何もできずに死んでつまらない(と感じられる)ケースがとても多い。
2.Tier間の性能差がある
WoTでもある話だが、Tier帯によっては操作で如何ともし難い格段の性能差がある。
たとえばTier8のMBTからみて、Tier7のMBTなど餌にしか見えない。
そういった性能差で押す側はともかく押される側はつまらない。
3.マッチングがクソ
Tier間に性能差があるため、AWは極力同Tierマッチであることが望ましいゲーム。
にもかかわらず、ユーザの神経を逆撫でするがごとし、バカにしているのかというレベルのクソマッチがとても多い。尤も、これは待機人数の少なさから仕方なくそういう形で成立させている面はあるのだろう。EUやRUのような人口規模がアレばそもそも起きない問題。でも、現にNAでプレイしているユーザーにとってそんな話はどうでもよく、目の前でつまらない戦いが展開される事実が横たわる。
また、単純に待ち時間があるため気軽に遊べない。
4.貫通の可否に運ゲー感がある
AWのMBTは高Tierになれば、小さな弱点以外正面からの攻撃を受け付けないような防御力をもっている。
レティクル中央に確実に飛ぶわけでもなく、WoTよりもお互いが機敏に動くゲームで、こういった弱点狙いについてはかなりの運ゲー感がある。
5.ソロで遊ぶのがつまらない
何もできずに死んだ、というような状況を解決するには最低2両の味方を近くに作れる小隊を組むのが有効。
逆に言うと、ソロで遊んでいる限りはこの状況から逃れられないし、そもそも野良マッチで遊んでいるプレイヤの大半はソロプレイヤーだ。
彼らにつまらないと感じさせれば人が離れていくのも当然の話だ。
6.一方的な結果に終わることが多い
ゲームスピードが早いからすぐに死ぬし、数で有利に立った側は側面をとって装甲の運ゲーを回避できる。だから最初についた有利不利から加速度的に差が広がって大差で決着がつくケースが多い。
当然負けている側は全くもってつまらない。
7.同じメンツばかりと遭遇する
人数が少ないから毎回同じようなメンツとばかり遭遇する。
特に高Tierでは最初から勝敗が見えていることが多い。
プラゲーである側面と相まって、自分のプレイが報われないと感じて離脱するプレイヤが出てくる。
8.数値的なプレイ目標がない
RankingやStatsを競うといった、WoTであった数字の遊びがAWにはない。
ここにはプレイヤ間のネガティブなやりとりを抑える肯定的な意味合いもあるが、ソーシャルやブログ、外部サイトでの対話や競争といった広がりを持つことができず、一戦一戦の試合の中にしか楽しみを見出すことができない。
競争の対象としての中毒性がない。
9.すべての問題は負のシナジーを生む
ここまであげたゲーム性の問題がまとまってなんかあまりおもしろくないという状況を生んでいる。あまりおもしろくないゲームを無理にプレイする理由はないから、熱心にプレイする人間が少ない。
諸々の問題は人口が少なくなればますます傷口を広げる類のものが多く、日を追っても改善どころか実際に悪化を辿っているのが現状。
ただ、そもそも十分な人口がいさえすればこれらの問題の多くは解決するだろうことも付け加えておく。
EUやRUが上手くいっている(らしい)のは、人口が十分に確保された結果プレイしていて楽しい環境が形成され離脱率が低く押さえられ根付くプレイヤが多いということだろうと思う。
NAについていえば、人口が少ない問題を解決するには人口を増やすしかないというトンチのような状況。
俺も正直、Pingさえ許すならばEUでプレイしたい。
もうだめかもわからんね。
考察面白く読みました。
NAサーバーのPVPは1vs.1
でマッチングされます。あまりにも寂しい状況です。
先を考えたら、課金するのに中々勇気要りますね。
コメントありがとうございます。
この記事を書いた時点からも時間が経過し、状況はどうしようもなく悪化してしまいましたね。(これを書いた時点ではTierと時間をある程度選べば10人以上の対戦は問題なくできていました)
ここから爆発的に流入を呼ぶのは難しいでしょうし、本当に”数ある成功することなく死んだタイトル”の中に数えられることになるのかなと眺めています。